夕暮れ時に色づく森
魔障の樹海を西へと進むと、そこは足元も覚束ぬ湿地帯、
夕景の橙色に染まる沼を、
宵の口に傾ける紫薔薇、反対色のコントラストに踊る影絵・・
誘惑の猫目で蛇にらみ、
しなやかにのびる魅惑の手脚、
尾と尾を絡ませて遊ぶ猫又
それは、底なしの隠沼に浸る沼蛇
死体願望のあるものは、わたしの処へおいでなさい
なあに聞かなくともわかるさ、そうだね
ここに来るものは口を揃えてこう言うのだから・・
†君の望みを聞かせておくれ†
誰も彼も猫になりたいのだろう
誰よりも品高く、誰よりも気高く
誰よりも自由に、誰よりも怠惰に
死逢わ瀬に逝く幸福な猫は
老いも死もない
屍の姿にしてあげましょう!
†私の願いを叶えておくれ†
蠱惑の言葉は眩惑の言葉
死の花を咲かす幻惑の蛇は
紫の薔薇で夕景を染めてゆく
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